炭の換気システムを開発する以前のことですが、あるお客様が「喘息(ぜんそく)」で悩んでいました。
まだ、「シックハウス症候群」という言葉もまだ認知されておらず、「24時間換気システム」の設置も義務化されていなかった頃のことです。
このお客様のお宅を改修したのですが、「炭」の成分が入っている壁紙を使用したところ、喘息の発作が治まった、というのです。
このことに着目し、換気システム、そして「炭」の研究開発をスタートされました。
シックハウス症候群のおもな原因は、空気中の化学物質やダニ・カビ、さまざまなばい菌などがあります。これらをきちんとコントロールすることが健康住宅の大切な条件です。
多孔質の炭には、これらの有害物質を吸着する働きはもちろん、湿度を調節する働きもありますから、ダニ・カビの原因となる湿気を防ぐ上でも有効です。日本でも古来からこの働きを建築に利用した「敷き炭」「置き炭」という方法があります。
しかし高断熱・高気密な現代住宅の場合、室内の空気が動きにくいため、ただ炭を置いておくだけではその周辺の空気しか浄化できない。だから換気経路が重要になるのです。家じゅうの空気がつねに炭に接した状態をつくるために、北海道立北方建築総合研究所との共同研究を開始しました。
その結果、第2種換気により吸気ファンから室内に新鮮な外気を取り込み、炭の層を通して室内に循環させ、室内の空気を排気口から自然排出する24時間換気システム「炭1トン仕様カーボンエアクリーンシステム」の共同開発に成功。特許を取得しました。